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あらすじ・・・
『砂の女』は、安部公房の書き下ろし長編小説。安部の代表的作品で、近代日本文学を代表する傑作の一つと見なされているだけでなく、海外でも評価が高い作品である。海辺の砂丘に昆虫採集にやって来た男が、女が一人住む砂穴の家に閉じ込められ、様々な手段で脱出を試みる物語。 ウィキペディア
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ネタバレ含む感想・考察です。
昔の作品ですが結構皆さん読んでいるみたいで、読書メーカーのアプリで調べると1万7千人ほど読んでいるんですね。恐るべし安部公房先生。
昔の作品ながら今読んでも理解できるので、若い人でも安心して読んで良い作品ですね。
今こそ読んでほしいという部分もあります。主人公の状況と私たちが置かれている今の状況にリンクしていると言いますか、似ている部分があります。私個人の意見ですが、、、
主人公は外の世界と分断されます。あるのは砂と家と女だけという状況です。
私たちの世界にはテレビやゲーム、携帯や、、、、たくさん資源が溢れています。全然違うと思われますが、私はそうは思いません。
今コロナで家で自粛を余儀なくされている人が多いと思われます。
ここで限りなく資源を使い飽きた方や、テレビしか観ない方ってどれくらいいるのでしょうか。
DVが増えてきたというニュースもあります。
自宅待機が長引く欧米でDV被害増 離婚急増の可能性も - ITmedia ビジネスオンライン
外出できないストレス。社会への不安。家族に対しての嫌悪。
色々理由はあるでしょう。
ここでは外出できないストレスを取り上げます。
話は砂の女へ。
男は外の世界では冴えない教師でした。
学校生活も家でも居場所がなく、趣味の昆虫採取でその居場所から逃げていました。
青酸カリも所持していたことから、元々自殺願望があったのかとも読み取れます。
しかし穴の生活は不自由で一刻も早く外に逃げ出したかった主人公。
外の世界に望んでいたのに最後は砂の穴に残ります。
穴の方が自由ということで残りました。砂と女、あとは自分で作った実験中のアイテムしかない中で一体何が自由なのかと思います。
話は現代に戻します。ストレスを抱える人が増えているとのことで少し疑問を持ちました。
それはなぜか?これがけ資源が恵まれている中でストレス発散が外出しかないことに驚きだからです。
ゲーム単体を掘り下げれば、昔はファミコンやゲームボーイは最大で二人しかできなかったです。
ニンテンドー64が発売され四人プレイが可能となり、ネットが普及し四人以上のプレイが可能となった現代。いつでもどこでも同じゲームをしている人と繋がれるという世界が今あるのです。
携帯も発達してSNSだけではなく、ゲームや勉強でさえ携帯一つでできる時代です。
資格の勉強もオンラインで出来るのです。
確かに外出はできないけど自由は昔よりたくさんあります。
それでもストレスを抱え不自由だと感じる人が多い。なぜ??
答えは「砂の女」という作品が教えてくれていると思います。
再度触れますが主人公は砂の穴に残ります。
何度も何度も穴から出ることを諦めずに、一度は外の世界にいくチャンスが目の前に転がってきましたが、穴の生活を選びます。
穴には資源はないです。テレビも新聞もない。ラジオはあるがあくまで天気を知るため用。
しかし主人公は穴の生活にもわずかな喜びを感じていました。
実験中のものがほんの少し結果を残していること。
このわずかな喜びが男の存在価値を見つけてくれたのである。
穴の中で自身の生きがいを見つけれたからこそ、男は穴に残ったのだ。
今私たちはコロナという感染病で穴の生活を余儀なくされています。
資源を上手に活用できる人は自粛しながらでも楽しんでいると思います。
反対に活用できない人や仕事ばかりやってきた人は今回の自粛は非常にキツいと思います。
砂の女の主人公と比べて自身がどれだけ恵まれているでしょうか。
資源はたくさんあります。
限られた資源で自分の生きがいを見つけて日々過ごしていくしかありません。
こういう時、オタクは強いですね。
オタクを叩く人いますけど、侮ったらダメです。
参考にしないと。
自身の視野を広げてコロナ終息後の世界も楽しめたらと思います。